モルトの会、テイスティングノート
2013.11.26 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレンモール」である。
今月のお題は、「グレンモール」である。 言わずと知れた閉鎖蒸留所のひとつである。街の中心部の立地ということで、施設は取り壊されショッピングモールになっている。
さてここでひとつの疑問が生じる、今回のNo.5のモルトは2003年の瓶詰めである。1988年に蒸留所は完全に取り壊されているので、そこから先、樽はどこで寝かされていたのか。
ボトラーズ物なので、最初からグレンモールのセラーで寝かされていなかったのか。 グレンモールのセラーで寝かされていないモルトに、グレンモールの個性はあるのか。論議は尽きないのである。
そんな魑魅魍魎の世界を仲間と論議することが、モルトを楽しむ上でまた楽しさのひとつかも知れない。
さてグレンモールであるが、マイナーな割にはメンバーの間でも評価は上々で、今回の5本も閉鎖に至ったのは残念と思わせるモルトが揃っていた。
*** [No.1] レアモルト グレンモール 1976 bottle no.4890 51.9% ***
(香り) まずドライと感じた後、しばらくすると北ハイランド系のフルーツが感じられるようになる。 樽の香りも通好みで、樽の個性を強く主張しない枯れた樽である。
わずかにタクアンの香りはあるが、程なく消えていきエレガントなフルーツ香で満たされる。酸味も程良くバランスしている。
長熟を思わせる深い香りで、香りの数はたいへん多い。
(味) 上質なフルーツ、わずかな苦みがアクセントとなっている。香りに比べると意外にドライで、いくつも味が出てくるわけでは無い。
*** [No.2] セレブレーション・オブ・ザ・カスク グレンモール ホッグスヘッド cask no.1233 202/270 1982-2010 52% ***
(香り) たいへんカラフルな香りだ、非常にあでやか。フルーツの香りは強いが、それほど種類は多くない。
(味) 味わいもたいへんフルーティーで鮮やか。沈んだ夜には、このモルトで癒されるのもよいだろう。
*** [No.3] ダンカンテイラー レアレスト・オブ・レア グレンモール cask no.4030 028/408 1975-2005 29年 52.8% ***
(香り) トップノートは酸味とエステリー。わずかにシェリー樽由来の香りも。わずかなタクアン香も感じられるが、ほとんど気にはならない。
しだいに香りは開いてきて、フルーツの競演となる、わずかなハッカがアクセントだ。奥にあるウッディな香りが長熟と感じさせる。
(味) ウッディな味わいと長熟由来の渋みが素晴らしい、また上質なフルーツもたくさん味わうことができる。たいへん美味いモルトである。
*** [No.4] ゴードン&マクファイル グレンモール 1978 62.6% ***
(香り) エステリーだが、時に雑味も感じられる。まったりとした味わいで、甘さも心地よい。ミントの香りがアクセントだ。ややトースティに感じる時もある。
(味) 香りとは打って変わって、ドライである。甘さ、酸味、フルーツ、旨み、樽香などバランスは取れているが、それぞれが弱く特徴の無いモルトと感じるかもしれない。
*** [No.5] SMWS 57.13 グレンモール 1981-2003 21年 62.5% ***
(香り) こってりと濃いフルーツ香。しだいにエステリーな香りが立ってきて、相乗効果でたいへんやさしい香りとなる。香りの立ちは良いが、香りの数は多くない。
(味) 旨みが強く感じられる。ただしドライでアルコール感が強い。
参考までに2004年12月26日の例会でのテイスティングノートをここに記しておく。
(香り) トップノートはフルーティー、ももや梨の香りが心地よい。熟成由来のエステル香もほどよく立ってくる。 甘い香りも奥に感じられ、香り奥からたくさん出てくる。軽いピート香。しばらくするとバニラ香も強く出てくる。
(味) アルコールが強い、かなりドライでからい。いがいがとした印象、しばらくするとブドウを思わせるフルーツを強く感じる。