モルトの会、テイスティングノート
2013.12.22 スタンドバーにて
今月のお題は、「山崎」である。
スコッチモルトと同列で扱える、そう意識をするようになってから久しい山崎であるが、今回改めてそのレベルの高さを再認識した。
レパートリーの広さは随一であろう。ピートあり、シェリーあり、またスペイサイドモルトを思わせるフルーティな香り。 これだけの個性をリリースする蒸留所はスコットランドでも2,3箇所ではないだろうか。
スコットランド人にはジャパニーズモルトはすぐに判断できるというが、今回の5本私にはまったく山崎とは思わず、ハイランドパークと感じた次第だ。 ほんとに現地ではジャパニーズと判断できるのだろうか、私にははなはなだ疑問ではある。
会の終わりには飛び交う会話からお題を山崎に絞ることができたが、スコッチモルトと並べても同列に扱える、それどころかさらに上にあるモルトといえるのではないだろうか。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ(SMWS) No.119.7 ジャパニーズオーク・ミズナラ 1/262 16年 54.0% ***
(香り) トップノートはエレガントで高貴なフルーツ香。わずかにドライ。酸味が上質なフルーツへのスパイスとなっている。
しだいにバニラ香が強く出てくるが、香りの数が多く、バニラ香はマスキングされることもある。また爽やかも感じられ、ミント、ハッカが香る。
(味) 濃いフルーツの味わい、わずかなピート。しばらく味わっていればウッディな樽の個性をしっかりと堪能できる。
様々な高級フルーツと樽由来の渋みの競演、そんな贅沢なモルト。
*** [No.2] スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ(SMWS) No.119.12 ジャパニーズオーク・ミズナラ 1/262 16年 54.0% ***
(香り) 甘い香りがすぐに立つ、エステリーな香りも強い。しばらくすれば、さわやかで、明るい香りも出てくる。軽いミントがアクセントとなっているが総じて優しい香りである。
さらに時間がたてば深みを増し、ウッディな熟成香が長熟であることを主張してくる。
(味) 濃いフルーツの味わい、わずかなピート。しばらく味わっていればウッディな樽の個性をしっかりと堪能できる。
様々な高級フルーツと樽由来の渋みの競演、そんな贅沢なモルト。
*** [No.3] オーナーズカスク 山崎 ミズナラ・バット cask no.6B.0021 1/167 1986-2009 51% ***
(香り) トップノートはさわやかにエステリー、優しい甘さも心地よい。しばらくノージングしていると限りなくエレガントであると認識する。わずかな酸味がバランスしている。
さりげなく長熟を感じさせる素晴らしい香り。
(味) 深みのあるフルーツが多数感じられ、何度も口を運ぶことになる。程よい酸味も心地よい。さらに樽由来の苦味も素晴らしく、たいへん出来のよいモルトである。
(味) 深みのあるフルーツが多数感じられ、何度も口を運ぶことになる。程よい酸味も心地よい。さらに樽由来の苦味も素晴らしく、たいへん出来のよいモルトである。
*** [No.4] 樽出原酒 山崎 シェリー 12年 54% ***
(香り) こげたゴムの香りと硫黄臭、ただしそれほど強いものではなく、グラスを回していると弱くなってくる。引き換えにバニラとエステリーなフルーツ香が顔を出す。
(味) やはりこげたゴム、たいへんトースティー。しかしシェリーだけで終わらずフルーティな個性も味わえるモルトである。
*** [No.5] オーナーズカスク エクセレント・スモーキー 山崎 ホッグスヘッド cask no.1V70010 159/181
1991-2007 56% ***
(香り) 軽い香り、香りの立ちが遅い。北国系フルーツがいくつも香るが、やや弱い香りだ。
軽くシャープなピートが感じられるが、それほど強くはない。
(味) ピートが強い、ほぼピートで満たされる。バックにはフルーツがあるが主役とはいえない。
味の数は多くないが、うまみが強く深い味わいと感じる時もある。